今回はヴェネツィアのコアな郷土料理、ビーゴリインサルサをご紹介します。
ビーゴリインサルサとは、アンチョビと玉ねぎで作ったパスタソースを、ビーゴリという太めの全粒粉のパスタにからめたヴェネツィアの郷土料理です。
私がはじめてこれを食べたのは、ヴェネツィアのレストランで働き始めて間もない頃、カルネヴァーレが始まる少し前。
話が長くなるのでヴェネツィアっぽい
写真挟んどきますね。
シェフが大きな鍋に大量の玉ねぎを炒め、アンチョビを入れたソースを作ってて、しかもシェフのレシピだとパンを砕いたものが入ってたので、パスタソースとは判らず、
「これ何ですか?」
って聞いたら、すごく心外そうな顔されたの覚えてる。
向こうの人達って、自分達の郷土料理に絶対の自信を持ってるから、まさか料理勉強しに来たコックが、ビーゴリインサルサを知らないなんて思わなかったのかも。
いやーー…
ごめんなさい。知らぬ。
当時のイタリア料理で、多分日本人に1番認知度高かったのはトスカーナ料理で、あの頃の私がヴェネトの料理でパッと思い浮かぶのはカルパッチョとティラミス位。
私はヴェネツィアに行くのは実は予定外だったし、旬の野菜を食べるのが目的だったから野菜は色々調べてだけど、ヴェネト州の郷土料理は何の予備知識も無かったんですよね。
そんな私がコアな部類の郷土料理、ビーゴリインサルサなんて知るよしも無く…。
ヴェネトのお料理は、どちらかというと地味なものが多くて、なんていうか、全体的にくすんだイメージ。
わかりやすくて華のある、例えばジェノベーゼやボロネーゼと比べると、まあ、万人受けするような感じではないから当然みんなが知ってるイタリアンに名を連ねるものなんて、あまりないわけで、(カルパッチョはヴェネツィアが発祥だとは意外と知られてない気がする。)
そんな感じの、さらにクリスマスイブやパスクワあたりにしか食べないとされてる(と言いつつ結構いつでも食べてた気がするが)コアな郷土料理はちょっと判らなかった。
でもね、住んでみて、料理に触れてみてわかったのだけど、ヴェネツィア料理は地味なものが多いのだけどとても興味深い。
イワシを使ったメニューも多いです。
ヴェネツィアにはオンブラという昼飲みの独特の文化があって、バーカロと呼ばれる酒場でワインを飲みつつ、チケッティというおつまみをつまんで昼下がりのおしゃべりを楽しんだりします。
チケッティは定番のものを各々店の味で出していたり、オリジナルのものを出していたりで、食べ比べするのも面白い♪
それに裏メニューのワインを置いてるお店もあるので、色々尋ねてお気に入りのお店を探すのも楽しいです。
バーカロについては、話すと長くなるのでまたの機会に。
そんなわけで、ヴェネツィアの料理は、美味しいし、面白いし、奥深い、自信を持っておすすめしたいメニューがいくつもある、今となっては大好きな料理となりました。
なんだか、最初イメージ最悪だけど、知れば知るほど好きになってくベタベタな恋愛マンガの王道パターンのようだな…。
それで、今回のビーゴリインサルサ。
ソースは玉ねぎの甘みとアンチョビの塩気がなんともくせになる味わいで、シンプルなんだけど旨みのある奥深い味わい。
ちなみにイタリア郷土料理あるあるで、このシンプルな料理さえ、作り方は人によって千差万別。
今回のはヴェネツィアのとあるバーカロの厨房を1人で切り盛りしてたおばあちゃんから教わったレシピです。
パスタはビーゴリという、太めのざらざらした全粒粉入りのもの。
トルキオという、生パスタビーゴリ用の器具もあるけど、向こうのスーパーではビーゴリの乾麺が売られてて、ビーゴリインサルサは乾麺で作る方が一般的だったかも?
このビーゴリの乾麺日本で売ってないかなー?と思って探したけど、見つからず。
なので私は普段は普通の太めのパスタで作ってます。
この日はふと魔がさして、某全粒粉パスタに手を出してみたら麺が細すぎるのと全粒粉すぎてもちもち感ゼロで大失敗したので、やっぱりビーゴリが手に入らない場合は普通の、1.8〜1.9mmと表記してある太めのパスタで作るのがおすすめかなぁ。と思います。
ビーゴリインサルサ(3〜4人分)
アンチョビフィレ 100gくらい
玉ねぎ 中2個くらい
オリーブ油 適量
白ワイン 適量
にんにく(お好みで) 1片
材料はこんな感じで用意してください。
アンチョビはオイル漬けを使用してます。
小骨が気になるので包丁でたたいてあります。
塩漬けを使用する場合は、
塩抜きして中骨を外してから刻んでください。
①フライパンに油をたっぷりめに入れ火にかけ、玉ねぎを炒める。
ちょっと引くくらい油が入る。
②玉ねぎが軽くしんなりしたらアンチョビを加え、炒める。
③ 白ワインをフライパンにひとまわしくらい加え、アルコールをとばし、水を少し加え、玉ねぎがくたっとするまで炒め煮る。
これくらいクタクタになってればOK
玉ねぎからのとろみと油の乳化で
いい感じにソースっぽくなります。
④お好みのパスタを茹で、(茹でるお湯に対して塩1〜2%)ソースとからめて皿に盛る。
うん!地味!!でも美味しー!
お気づきかと思いますが、ソースに塩は一切入りません。
アンチョビの塩気のみ。
この写真のパスタは前述とおり、細すぎるので、もっと太いパスタをおすすめします。
見た目に反して、骨太なしっかりした味のソースなので、それに負けないパスタでお試しください。
ではでは、お読みいただきありがとうございました〜!
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